佐藤瑛「HikariSt」全曲レビュー:06【poor baby】

poor baby:男友達と、私。

恋愛当事者には深刻な問題でも、外から見たらクスッと笑える。
佐藤瑛はpoor babyで「女の子に振り回される男の子」を少しコミカルに描く。
主人公の彼女はまだ、恋愛当事者になれないでいるんだけど。

 

約束を電話一本で破られて
凹んでるあなたを見るのは 今日で何回めかしら
きっと両手じゃ足りないわ

 

いつものように女の子に振り回され、アワアワになってる男友達。
全く情けないわね〜と思うのと同時に

「私のことを ちゃんと見てくれたらいいのに」

と願う女の子。

両手じゃ足りないくらいの「男友達」の恋のゆくえを見守りながら、彼女は自分の気持ちをまっすぐに伝えることはできない。

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poor baby:私はそんなあなたのすべてが愛しい

佐藤瑛は訊く。

対象が自分じゃなくても、好きな男の子が恋に悩んでいたら?あなたは手を差し伸べる?
そんな相談事に付き合う?

イラっとくる瞬間もあるだろう。
お姉さんやお母さん気分になることもあるだろう。

そんな時、あなたはどうする?

ちょっとチクリとする一言を言ったり
目の前にいるのにどうして分かんないの?と悲しくなったり
せっかくの告白も冗談ぽくなったり

ファミレスの二人の物語は、今までのことも、これからのことも想像させてくれる。

歌は、物語の一部を切り取る。
そして、その前後を想像させる。
その瞬間、歌は「聴く人のもの」になる。

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poor baby:可愛らしいマンドリンの音色

佐藤瑛はライブでマンドリンを使って「poor baby」を歌う。
マンドリンの音色がぴったりだと思うから。
この曲の雰囲気はギターじゃないなと思ったらしい。

涼やかで軽いマンドリンが
少し悲しい恋を歌う。

 

you&Iなんて刻まれたネックレス
はずせば気だって楽になるんじゃない?

 

アルバムの中で「ほっと一息」入れられる場所に、ぴったりと収まってるこの曲。
一緒に歌いたくなる軽やかさを持ってる。